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試薬

MMPs TIMPs について

MMPs TIMPs 研究用試薬シリーズの紹介

各種MMPおよびその内因性インヒビター・TIMPのモノクロナール抗体ならびにアッセイシステムを取り揃えております。

MMPs、TIMPs

For Cancer Invasion & Metastasis,
Rheumatoid Arthritis (RA), Osteoarthritis (OA)

diagnosis

diagnosis

MT1-MMP, MT2-MMP, MT3-MMP
MMP-1, MMP-2, MMP-3, MMP-7, MMP-8,
MMP-9, MMP-10, MMP-13, MMP-20
TIMP-1, TIMP-2, TIMP-3, TIMP-4

Cathepsin L2, Cathepsin Z,
Cathepsin F, Cathepsin K

diagnosis

 

MMP-1, MMP-2, MMP-9, TIMP-1, TIMP-2,
*Panaclear MMP-3 「Plate」
(In Vitro Diagnostics 21200AMZ00590000)

これらの製品(*Panaclear MMP-3 「Plate」を除く)は試験研究用です。ヒト、動物への医療、臨床診断用としては使用できません。 また、人体への投与は絶対にしないで下さい。

はじめに

生体内の色々な組織は、細胞と細胞外マトリックス(ECM)から構成されています。
ECMは組織の構造や機能を調節しているので、その分解は細胞機能の変化や破綻を引き起こす重要な現象であり、生理的な組織改築のほか種々の病的組織における組織破壊の際に認められます。
マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)はECMを分解し、慢性関節リウマチ、変形性関節症などにおける組織破壊に関与していることが知られています。そこで、MMP-3をはじめ各種MMPsやTIMPsの濃度を測定することを目的とし、酵素免疫測定法(EIA)法を開発しました。

RA関節組織の破壊とECM分解酵素 1)

慢性関節リウマチ(RA)滑膜表層細胞では、MMP-1、MMP-3およびTIMP-1が産生され、MMP-2とTIMP-2は表層細胞下層の線維芽細胞で主として産生されています。
MMP-8およびMMP-9は滑膜に浸潤した好中球やマクロファージで産生され、一方、滑膜やパンヌスに浸潤した好中球やマクロファージおよび肥満細胞はセリンプロテアーゼを分泌しています。これらのプロテアーゼが軟骨ECM分解を行い、RAの関節・軟骨破壊に寄与していると考えられています。
MMP-3は軟骨マトリックス構築上、重要なIX型コラーゲンやアグリカンをはじめとするプロテオグリカンたん白の分解能を有し、他のMMPの活性化能を有するため軟骨破壊の Key enzyme として考えられます。免疫組織学的検討において、MMP-3はRAの滑膜表層細胞に強い局在を示し、RAにおける軟骨破壊に重要な役割を担っていると推察されています。

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MMPファミリー

MMPsは共通した構造と生化学的性質から、下表に示すようにコラゲナーゼ群、ゼラチナーゼ群、ストロムライシン群、細胞膜貫通型MMP群、その他の群に大別されています。
MMPの基質特異性は下表 の 通りであり、共同して作用すると生体内のほとんどすべてのECMが分解可能と考えられます。
生体内でのMMP活性は
(1)遺伝子発現
(2)不活性な潜在型MMP (ProMMP)の活性化
(3)インヒビター (TIMP)による活性阻害
の3つのステップで制御されています。IL-1やTNF-αなどのサイトカイン、EGF、PDGF、FGFなどの増殖因子がMMPの遺伝子発現の誘導因子とされています。

名称 MMP番号 基質 産生細胞
I. コラゲナーゼ群
組織コラゲナーゼ MMP-1 I, II, III, X型コラーゲン 線維芽細胞、滑膜細胞、軟骨細胞
好中球コラゲナーゼ MMP-8 I, II, III型コラーゲン 好中球
コラゲナーゼ-3 MMP-13 I, II, III型コラーゲン 乳癌細胞、軟骨細胞
II. ゼラチナーゼ群
ゼラチナーゼA MMP-2 ゼラチン、IV, V, VII, XI型コラーゲン
ラミニン、フィブロネクチン、エラスチン
線維芽細胞、軟骨細胞、メサンギウム
内皮細胞、癌細胞
ゼラチナーゼB MMP-9 ゼラチン、III, IV, V型コラーゲン、
α2(I)鎖、エラスチン
好中球、マクロファージ、トロボブラスト
破骨細胞、癌細胞、T-リンパ球
III. ストロムライシン
ストロムライシン-1 MMP-3 プロテオグリカン、III, IV, VII, IX型コラーゲン
ラミニン、フィブロネクチン、ゼラチン
滑膜細胞、軟骨細胞、線維芽細胞
ストロムライシン-2 MMP-10 III, IV, V型コラーゲン、フィブロネクチン
ゼラチン
癌細胞、T-リンパ球
IV. 細胞膜貫通型MMP
MT1-MMP MMP-14 I, II, III型コラーゲン、ゼラチン、ラミニン、
フィブロネクチン、ヴィトロネクチン
プロテオグリカン
癌細胞、線維芽細胞
MT2-MMP MMP-15 フィブロネクチン、テネイシン、アグリカン
ナイドジェン、パールカン
癌細胞
MT3-MMP MMP-16 III型コラーゲン、ゼラチン、フィブロネクチン 脳細胞
MT4-MMP MMP-17 不明  
MT5-MMP MMP-24 不明  
MT6-MMP MMP-25 不明  
V. その他
マトリライシン MMP-7 プロテオグリカン、ゼラチン、フィブロネクチン
エラスチン、IV型コラーゲン、ラミニン
癌細胞、マクロファージ、
メサンギウム細胞
ストロムライシン-3 MMP-11 フィブロネクチン、ラミニン、
プロテオグリカン、ゼラチン、
メタロエラスターゼ MMP-12 エラスチン マクロファージ
ヒト新規メタロプロテアーゼ MMP-18 不明
ヒト新規メタロプロテアーゼ MMP-19 不明
エナメライシン MMP-20 アメロゲニン、ゼラチン 象牙芽細胞
ヒト新規メタロプロテアーゼ MMP-23 不明

MMP-12)
間質コラゲナーゼ (MMP-1)は、I 型、II 型、III 型コラーゲンのへリックス部位を特異的に切断し、組織破壊や組織再構築に関与する酵素です。MMP-1は、不活性なProMMP-1として放出され、細胞外で活性化を受けます。
当社キットは、ProMMP-1を特異的に認識しますが、活性型MMP-1およびTIMP-1と結合したMMP-1も検出します。

MMP-23)
ゼラチナーゼ A (MMP-2)は、組織、細胞および血中に存在することが知られており、細胞外マトリックスの構成成分であるゼラチン、IV、V、VII、X、XI 型コラーゲンやフィブロネクチン、エラスチンさらにはプロテオグリカン分解活性を有し、組織破壊や癌の浸潤、転移に関与しています。
当社キットは、ProMMP-2を特異的に認識しTIMP-2と結合したProMMP-2も検出しますが、抗体の特異性により活性型MMP-2は検出することができません。

MMP-34)(体外診断用医薬品)
ストロムライシン(MMP-3)は、細胞外マトリックスの構成成分であり、プロテオグリカン、ラミニン、フィブロネクチンやIII、IV、V型コラーゲン分解活性を有し、組織破壊、特に軟骨破壊に関与しています。
当社キットは、MMP-3を特異的に認識し、ProMMP-3、活性型MMP-3、TIMP-1およびTIMP-2と結合したMMP-3も検出します。

MMP-75)
マトリライシン(MMP-7)はプロテオグリカン、ゼラチン、フィブロネクチンおよびIV型コラーゲンのような細胞外マトリックスを切断し、癌の浸潤・転移に関与する酵素と考えられています。

MMP-86)
好中球コラゲナーゼ (MMP-8)は、細胞外マトリックスの構成成分であるI、II、 III 型コラーゲンやアグリカン分解活性を有し、炎症時における細胞外マトリックスの代謝に関与しています。

MMP-97, 8)
ゼラチナーゼB (MMP-9)は、組織、細胞および血中に存在することが知られており、細胞外マトリックスの構成成分であるゼラチン、IV、V型コラーゲンやエラスチンを分解する活性を有し、癌の浸潤、転移に関与しています。
当社キットは、ProMMP-9と83kDaの活性型MMP-9 (中間体)を認識しますが、抗体の特異性により67kDa の活性型MMP-9は検出することができません。

TIMP-19, 10)TIMP-211)
MMPのインヒビターであるTIMPsは、MMPsによるECMの分解と合成のバランスを調節しています。TIMP-1は組織、体液などに広く分布しており、ProMMP-9や活性型MMPsと複合体を形成し、MMPs活性を制御しています。
TIMP-2 は、活性型MMPsおよびProMMP-2と複合体を形成し、その活性およびMMP-2の自己分解を抑制します。

MMPsおよびTIMPsのモノクローナル抗体(Mab)

MMPs およびTIMPsの各Mabの認識部位および他種動物との交差性の特色について下記の表に示しています。

NO. Product Clone No. Recognized form Cross reactivity
F-67 hMMP-1 41-1E5 Pro(57,52kDa)、Active(46, 42kDa) H(+),Rb(+),B(-)
F-91 Active
hMMP-1
195-1H6 Active(42kDa) H(+)
F-68 hMMP-2 42-5D11 Pro(72kDa)、Active(67kDa) H(+),r(+),B(+),M(+),Rb(+)
F-73 hMMP-2 75-7F7 Pro(72kDa)、Active(67kDa) H(+),B(+),M(+)
F-66 hMMP-3 55-2A4 Pro(59,57kDa)、Active(45, 28kDa) H(+),r(+),S(+),P(+),M(-),Rb(-),B(-)
F-77 Rabbit
MMP-3
148-1A3 Pro(51kDa)、Active(39,35,27,25kDa) Rb(+)
F-82 hMMP-7 141-7B2 Pro(28kDa) H(+)
F-90 Active
hMMP-7
176-5F12 Active(19kDa) H(+)
F-83 hMMP-8 115-13D2 Pro(85kDa)、Active(64kDa) H(+)
F-69 hMMP-9 56-2A4 Pro(92kDa)、Active(83kDa) H(+),G(+),Rb(+),M(-),r(+),B(-),Ha(-)
F-93 hMMP-10 142-9B11 Pro(56kDa)、Active(47,24,22KDa) H(+)
F-89 hMMP-13 181-15A12 Pro(60kDa)、Active(48kDa) H(+),M(-)
F-94 hMMP-13 181-14G11 Pro(60kDa)、Active(48kDa) H(+)
F-102 hMMP-20 203-1C7 Pro(52kDa)、Active(46,32kDa) H(+),P(+)
F-80 hMT1-MMP 114-1F2 Pro(62kDa)、Active(56kDa) H(+),M(-)
F-84 hMT1-MMP 113-5B7 Pro(62kDa)、Active(56kDa) H(+),r (+),Rb(+),M(+),P(+)
F-86 hMT1-MMP 114-6G6 Pro(62kDa)、Active(56kDa) H(+),r (-),P(-)
F-88 mMT2-MMP 162-22G5 Pro(68kDa)、Active(62kDa) H(+),M(+)
F-81 hMT3-MMP 117-10C6 60kDa H(+)
F-23 bTIMP-1 7-6C1 28kDa H(+),B(+),r (+),M(-)
F-26 hTIMP-1 147-6D11 28kDa H(+),r(-),M(-)
F-70 hTIMP-2 67-4H11 24kDa H(+),Rb(+),r(+),M(+),B(+),G(+)
F-85 hTIMP-3 136-13H4 24, 27kDa H(+),Rb(+)
F-109 hTIMP-4 216-1G2 22kDa H(+)
F-110 hTIMP-4 216-2C9 22kDa H(+)

H: Human、B:Bovine、Rb:Rabbit、r:Rat、M:Mouse、G:Guinea pig、S:Sheep、P: Pig、Ha:Hamster

MMPsおよびTIMPsのキット

ヒトMMPsおよびTIMPsの簡便な1ステップ サンドイッチ定量法 (EIA)の特色について下記の表に示しています12)。

  MMP-1 MMP-2 MMP-3 MMP-9

(ng/ml) 0.3 0.24 9.2 0.24
(pg/assay) 6 2.4 460 2.2


潜在型 (pro) MMP 100% 100% 100% 100%
活性型 (active) MMP 125 0 29~47 ~4
複合体形成
MMP
with TIMP-1 48 (0) 54~62 (pro)100
(active)~5
with TIMP-2 ~3 (pro)100
(active)(0)
33~53 ~3
  TIMP-1 TIMP-2

(ng/ml) 0.15 1.6
(pg/assay) 1.5 16


遊離型 (free form) 100% 100%
複合体 with MMP-1 100 330
with MMP-2 96 450
(pro)~5
with MMP-3 105 105
with MMP-9 98
(pro)92
300

【参考文献】
1) Y. Okada : Mebio. 12. 78-86. 1995.
2) J. Zhang et al. : Clin. Chim. Acta, 219, 1-14, 1993.
3) N. Fujimoto et al. : Clin. Chim. Acta, 221, 91-103, 1993.
4) K. Obata et al. : Clin. Chim. Acta, 221, 59-72, 1992.
5) E. Ohuchi et al. : Clin. Chim. Acta, 244, 181-198, 1996.
6) H. Matsuki et al. : Clin. Chim. Acta, 244, 129-143, 1995.
7) Y. Okada et al. : J. Biol. Chem., 267, 21712-21719, 1992.
8) N. Fujimoto et al. : Clin. Chim. Acta, 231, 79-88, 1994.
9) S. Kodama et al. : Collagen Rel. Res., 7, 341-350, 1987.
10) S. Kodama et al. : J. Immunol. Methods, 127, 103-108, 1990.
11) N. Fujimoto et al. : Clin. Chim. Acta, 220, 31-45, 1993.
12) 藤本昇ら: 現代医療, 32, 168-173, 2000.